宅建独学 合格【旧耐震基準とは】

旧耐震物件は、床や壁の構造が脆弱? 振動・騒音・臭気などが強く伝わる?

宅建試験における旧耐震基準の出題例と回答解説

● 出題例①(2018年)

問題要約:
「旧耐震基準に該当する建物について、重要事項説明で何を伝えるべきか?」

解説・模範解答:

1981年6月1日以前の建築確認を受けた建物は旧耐震基準で設計されており、現行の耐震性能を満たしていない可能性があります。
このような建物について、重要事項説明書においては以下の点が説明されるべきとされています:

  • 耐震診断を実施しているかどうか

  • 実施している場合は、その診断結果の概要

  • 建物が旧耐震基準に該当していること(築年・建築確認年月日の提示を通じて)

特に「耐震診断結果があるのに説明しない」のは、**宅地建物取引業法違反(重要事項の不告知)**となる可能性があります。

👉 ポイント:
重要事項説明書に「耐震診断の有無」と「診断結果の要旨」を明示する必要がある。


● 出題例②(2021年)

問題要約:
「1981年6月以前に建築確認を受けた建物において、耐震診断を行う義務はあるか?」

解説・模範解答:

耐震診断の義務は、すべての旧耐震建物に課されているわけではありません。
以下の場合に耐震診断が義務となります:

  • 大規模な建築物(特定建築物)で、不特定多数の者が利用する用途のもの

    • 例:病院、百貨店、ホテル、劇場など

  • 一定の高さ以上(概ね3階以上)の鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物

住居専用の**小規模な共同住宅(賃貸マンション等)**については、原則として耐震診断の実施義務はありません(ただし、努力義務とされる)。

👉 ポイント:
旧耐震だからといってすべてに義務があるわけではなく、建物の規模・用途・構造によって義務の有無が異なる

借地借家法から見た「旧耐震基準」の建物

「旧耐震基準」と「新耐震基準」

    • 旧耐震基準(1981年5月31日以前): 震度5程度の揺れで建物が損傷しないことを想定。
    • 新耐震基準(1981年6月1日以降): 震度6強~7程度の揺れでも建物が倒壊しないことを想定。
  • 借地借家法における「使用収益させる義務」
    • 賃貸人には、賃借人が建物を安全に使えるようにする義務(修繕義務)があります。
    • 旧耐震の建物であっても、賃貸人はこの義務を負っています。ただし、耐震性が不足していること自体が直ちにこの義務違反となるわけではありません。
    • 「使用収益させる義務」は、主に民法第601条に定められています。借地借家法は、民法の特別法として、建物賃貸借や借地契約について民法よりも借り手(賃借人)に有利な規定を設けていますが、基本的な賃貸借契約の原則は民法に依拠しています。**民法第601条(賃貸借)**には、以下のように規定されています。

      賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

      この条文にある「ある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し」という部分が、賃貸人(大家さん)が負う「使用収益させる義務」の根拠となります。

      この義務は、単に物件を貸し渡すだけでなく、賃貸借契約が存続する間、賃借人がその物件を平穏かつ安全に使用・収益できる状態を維持するという、継続的かつ積極的な義務であると解釈されています。

3. 賃借人(借主)が注意すべきポイント

旧耐震の雑居ビルに住む場合はここに注意!

居住用として旧耐震基準の雑居ビルに入居する場合、一般的なマンションやアパートとは違った構造上・環境上のリスクを想定しておく必要があります。

● ① 建物の用途と構造を確認

旧耐震の雑居ビルは、元々は事務所や店舗用に設計されていることが多く、住居としての使用には十分な設備や断熱性がないケースがあります。

  • 内装が簡素で壁が薄い、遮音性が低い

  • 換気設備が不十分

  • 非常階段や避難経路が住宅仕様でない

➡︎ 建築用途(用途変更届出の有無)や構造図面を確認しましょう。

● ② 耐震性能と避難経路を事前に確認

旧耐震基準(1981年6月以前)の建物では、震度6以上の地震で倒壊リスクがあります。雑居ビルの場合、複数テナントが同居しており避難経路が複雑になっていることも多いです。

  • 耐震診断結果の有無(あれば閲覧)

  • 避難通路に物が置かれていないか

  • 消火器・誘導灯の設置状況

➡︎ 夜間や停電時を想定して、安全経路を確認しておきましょう。

● ③ 上下階・周辺のテナントの業種に注意

雑居ビルでは、真上・真下にジム・飲食店・カラオケ・クラブなどの店舗が入っていることもあります。旧耐震物件では床や壁の構造が脆弱なため、振動・騒音・臭気などが強く伝わることがあります。

  • どんな業種のテナントが入っているか(昼・夜で様子が異なる場合も)

  • 店舗の営業時間・定休日

  • 防音や床補強の工事がされているか

➡︎ 必ず内見は「昼と夜」「平日と週末」の両方で!

● ④ 設備の老朽化・安全性にも注意

旧耐震基準のビルは、築40年以上のケースがほとんどです。以下のような老朽化設備がそのまま使われている可能性があります。

  • 給排水管(サビ・漏水)

  • ガス設備(腐食・ガス漏れリスク)

  • 電気容量(ブレーカー落ちやすい)

➡︎ 入居前に管理会社へ設備の更新履歴を確認しましょう。


まとめ:旧耐震の雑居ビルに住むなら「見えない部分」もチェックを!

旧耐震の雑居ビルには、家賃の安さや利便性といった魅力がある一方で、住環境や安全性に関するリスクも抱えています。

特に、地震や火災といった非常時の安全性、そして上下階のテナントからの影響は見落とされがちです。契約前には、建物の構造・設備・周囲の環境をよく調べ、自分の生活スタイルと合っているかを冷静に判断することが大切です。